脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)とは、頭蓋骨内部のくも膜・硬膜の損傷により脳を守る脳脊髄液が減少し、頭蓋内圧が低下する等して引き起こされる症状です。痛覚受容体のある脳神経や頭蓋底の硬膜が刺激されることで、(起立性)頭痛、耳鳴り、吐気、めまい、だるさ、などの症状を引き起こします。
脳脊髄液減少症を治療したものの完治せず、後遺障害が残った場合には、後遺障害の等級認定を受け、慰謝料を請求できる可能性があります。脳脊髄液減少症の症状である頭痛等は、自賠責保険における後遺障害の等級認定の基準では、神経系統の障害として第9級、第12級または第14級に該当する場合があります。
もっとも、後遺障害として認定されるためには、①他覚所見があり、脳脊髄液減少症と診断されていること②交通事故との因果関係の証明、の2つが必要となります。
そして、脳脊髄液減少症の診断基準は、これまで確定しておらず、複数の団体が各々の基準を出している状況にありました。しかし、厚生労働省の研究班が、平成23年10月14日、画像診断基準とともに脳脊髄液減少症の診断基準を公表したことにより、今後は、この診断基準にのっとって診断・判断がされていくと思われます。
■厚生労働省による脳脊髄液減少症の診断基準
①低髄液圧(60mm水柱以下)の証明があること
②MRI等の画像によるびまん性、連続性硬膜肥厚造影所見の証明があること
③(起立性)頭痛が交通事故の時期に一致して発現したこと(交通事故との因果関係)
■後遺障害と認定されるために必要なこと
脳脊髄液減少症が後遺障害として認定されるためには、上記の通り、①他覚所見があり、脳脊髄液減少症と診断されていること②交通事故との因果関係の証明、が必要となります。
①の他覚所見とは、患者の訴える症状と関係する客観的な異常所見のことです。後遺障害と認定されると、慰謝料などの損害賠償金が発生するため、後遺障害の認定には客観的な根拠が必要となることから、他覚所見があることが必要となります。
②について、脳脊髄液減少症の発症が交通事故によるものなのか(交通事故との因果関係)を証明する必要があります。脳脊髄液減少症は、出産時の負荷や運動等でも発症することが知られているため、交通事故以外の原因による発症でないのではないか、との疑いをなくさなければなりません。加害者側の保険会社も、この因果関係を争ってくることが多いです。
因果関係の証明について、具体的には、(起立性)頭痛が交通事故の時期に一致して発現した事実、などを主張・証明していきます。
もっとも、脳脊髄液減少症に関して、これまで医学界の見解の一致がみられず、脳脊髄液減少症の否定判決が相次いでいました。そのことから、現段階では、保険会社などとの交渉において、被害者個人で交通事故による脳脊髄液減少症の発症が認められたり、適正な損害賠償を受けることは、非常に難しいといえます。
そこで、脳脊髄液減少症を伴う事故に関して、交通事故知識に詳しい行政書士に相談することをお勧めします。
行政書士松浦法務事務所では尼崎市、神戸市、大阪市、京都市を中心に、交通事故や死亡事故、人身事故、障害年金などさまざまなご相談を承っております。後遺障害、慰謝料請求など、交通事故等のトラブルでお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。
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脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)とは
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